ふと朝、大阪湾を眺めていると神戸市街地が良く見えました。冬になると空気が澄むといいますが、なぜ澄むのでしょうか。その理由について調べてみました。
目次
理由
空気が濁(にご)っているか澄(す)んでいるかは、空気中に含まれている水蒸気やちりなどが多いか少ないかによります。冬は夏に比べて気温も低く、対流活動も弱いことから空気中の水蒸気やちりなどが少なく、このため冬の空は夏の空より澄んで見えます。
はれるんライブラリー/気象庁
気象庁の子供向け質問コーナーにその理由がありました。
理由としては2つ。1つは空気中の水蒸気量、もう1つは対流活動であることがわかりますね。では具体的にどのようにして水蒸気と対流活動が関係しているのでしょうか。今回はその点について調べてみました。
そしてなぜ空気が澄んでいると景色が明瞭になるのかを最後に説明します。
解説1:水蒸気量
まずは空気中の水蒸気量。もう少し身近な言い方をすれば「湿度」ですね。
例えば2020年1月8日の大阪府の湿度は50%ちょっとでした。気温は2℃とものすごく寒いのに意外と湿度高いような気(?)もしますよね。
でも冬と夏では同じ湿度でもジメジメ具合が全く違いますよね。
そう、そこに秘密があるようです。それを説明するために、2つの湿度について説明したいと思います。
相対湿度
実は湿度と言うのは(大きく)2種類あります。一般的に使われているのは「相対湿度」と呼ばれるものです。
空気中にある水蒸気がある温度の時水蒸気として存在できる限界量があり、これを飽和水蒸気量と呼びます。その飽和水蒸気量と実際に存在する水蒸気量の割合が(相対)湿度です。
限界を超えた水蒸気は結露し、水滴になります。コップに氷水を入れて放置しているとコップがびちゃびちゃになるのが例ですね。
皆さんの良くイメージする(相対)湿度のイメージは次の図の通りです。
温度が高いとその飽和水蒸気量も大きくなる特性があります。
相対湿度のイメージ
絶対湿度
一方でこれはあまりよく聞きませんが、「絶対湿度」と呼ばれるものがあります。
相対湿度が飽和水蒸気量と実在する水蒸気量との割合であるのに対して、絶対湿度とはその存在している水蒸気量そのものです。例えば気温30度で湿度50%と言う条件であれば飽和水蒸気量が30.3(g/㎥)なので存在する水蒸気量は15.2(g/㎥)です。
絶対湿度のイメージは次の通りです。
これが冬の空気が澄んでいる肝になります。
絶対湿度のイメージ
夏と冬の水蒸気量の違い
つまり何が言いたいかと言うと、同じ(相対)湿度であっても気温の低い冬の方が水蒸気量が少ないので空気が乾燥しているということ。
(相対)湿度50%の例ですとその差は実に6倍以上になります。
実際に気象庁の統計(2018年)によると、相対湿度は1月平均54%、7月77%になりますので、明らかに冬の方が空気に存在する水蒸気量が少ないのです。
もう少し分かりやすい例えが必要であれば、大人用の大きなコップと子供用の小さなコップを想像してみてください。
どちらもコップの半分の高さまで注ぐと、それぞれよ容器の大きさは関係なく「半分」です。そしてこれが相対湿度の概念。
一方で入っている量を見てみると、確かにそれぞれコップの半分の量ではあるものの、明らかに子供用のコップの方が量が少なく、大人用の方が多いですよね。これが絶対湿度の概念です。
解説2:対流活動
対流活動とは
もう一つの理由の「対流活動」。
地球の地表から11km程度の高さ(飛行機が飛ぶ高度くらい)の部分を対流圏と言います。その名の通り空気が対流(循環)しているから対流圏なのです。
空気が対流するということは色々ちりや水蒸気が動きやすいということ。
地球が活動する限り暑かろうが寒かろうが空気は動きますが、何故冬の方が対流活動が少ないのでしょうか。
冬の対流活動が少ない理由
色々参考資料を調べてみた私の考えは下記の通りです。(恐らく一例)
対流と言うのは温度差が原因で発生するものですので、温度差が大きいほうが動きやすいです。
地球は太陽の熱で常に温め続けられています。特に日中はよく地表面が温められ、夜間にその熱が宇宙へ放出されます。これを放射冷却と呼びます。朝方にかけて冷え込むのは冷めたカイロのようになっているから。
通常高度が上がるにつれて気温が下がっていくので温度差が生まれ対流が起こるのですが、冬の放射冷却で表面から一気に冷えて、表面の方が上空より気温が下がってしまう層である接地逆転層(やそれに近い状態)が生まれます。こうなると上空との温度に不均衡が発生し対流は起こりにくくなります。
季節関係なく放射冷却はありますが、冬のように大気中の水蒸気が少ない日は遮るものも少なく、特に冷めやすいので起こりやすいと言われていますね。
対流活動イメージ(一例)
解説3:空気が澄んでいると何故景色が明瞭になるか
これはミー散乱による影響であると思われます。
先般このような記事を紹介しました。
▼空が青い理由と雲が白い理由/レイリー散乱とミー散乱
遠くの目標地点までの水蒸気量やチリが少ないということは、散乱する要因が少ないということ。
よって冬の空は夏の空に比べて「白いもや」が取れたように明瞭に見える(=空気が澄んでいる)のだと考えられます。
まとめ
ふと今朝気になった現象を調べてみましたが中々奥が深そうです。熱工学、電磁気学や気象学にまできちんと調べないといけないですね。
間違っているかもしれませんが、興味を持つきっかけになってもらえればな。と思います。
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参考文献
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