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2023年のGW(ちょっと拡張)は中欧4か国(オーストリア/ハンガリー/チェコ/スロバキア)を2週間で巡る旅。6日目は郊外にあるブラチスラヴァ鉄道博物館へも!
ブラチスラヴァと言えばミハエル門やブラチスラヴァ城などの有名な見どころもありますが、ただコンパクトシティなブラチスラヴァ観光は割とすぐに完了してしまいます。
ブラチスラヴァの滞在をより楽しむために、郊外に目を向けて見つけてきたのがこの鉄道博物館!
アクセスも比較的良く、追加の観光にピッタリです。
さて、皆さん鉄道博物館と言えば埼玉や京都にある鉄道博物館をイメージされますでしょうか。「屋内に実物車輛や改札、踏切と言ったアミューズメント的な設備、そして屋外に車庫と汽車…」。こんな感じでしょうか。少なくとも私が言った京都鉄道博物館はこんな感じでした。
しかしここブラチスラヴァの鉄道博物館はそのような設備は少なく、また予約をしないと入れません(難易度高め)。
むしろメインとも言えるのは野ざらしにされた多くの鉄道車両が並ぶ”屋外展示場”!
多くの時代に渡る車両が野ざらしで展示されており、またその説明はスロバキア語のみと言う完全地元民向けな施設なのですが、スロバキアの鉄道とそれが存在した時代、特に共産圏時代の車両も身近に見て楽しめる素敵スポットなのです!
今回はそんな鉄道博物館を紹介したいと思います。
アクセスについては下記の記事でまとめておりますので参考にどうぞ。
▼鉄道博物館へのアクセス(電車・バス)
さて、さっそく入場してみます。
冒頭に合った通り野ざらしな鉄道博物館への入場は特に受付もなければ入場料金も必要ありません。
これらの敷地はどうも近くの操車場の延長線上にあるみたいです。その延長線上の一部に古い車両を留め置いて展示しているみたい。放置ではないと思いますが、ボロボロのものもあるのでノーコメントで。
さて、見て回れるエリアですが、ご覧の地図になっています。
右手が入り口で、左手が操車場側。
ここで注意いただきたいのがこのエリア全てに入れるかと言うとそうでもないようです。
非常にその境界はあいまいですが、それ以上進入してはいけない場所に、このような進入禁止マークが書かれています。
先ほど紹介したようにスロバキア語オンリーですが、言葉でも「ZÁKAZ VSTUPU(入場禁止)」の看板があります。
観光する際はこの看板にだけ注意して、それ以上は進入しないようにすれば特に問題はなさそうです。
製造年/? 製造会社/?
車両については案内があるものとないもの、そして見落としていたものがあり詳細が分からないものがありますが、紹介していきたいと思います。
こちらは「3100 107」というのは形式の様に見えますが、残念ながら詳細な情報は見つけられませんでした。
煙突の先端に重みのあるデザインが何とも特徴的でした。
ちなみにこちら日本でもあまり見なくなった回転台のすぐそばに停められていました。
製造年/? 製造会社/Skoda
その向かいにも汽車!
左手はシュコダ・プルゼニ製の車両であり、戦後辺りに製造された車両のようです。右手の車両「331 037」は情報なし。
こちらの車両は先頭にある星形のマークが何とも共産主義時代の面影を感じ取らせるものでした。
製造年/? 製造会社/?
何とも昭和のSF雑誌あった「みらいののりもの」を彷彿とさせるようなデザインの車両!
こちら頑張って調べれば何か出てきそうですが、現在の所は情報なし。
運転席側には「お家かな?」と思わせるようなカーテンがあったりして面白いです。
先ほどの車両をけん引してきたであろう車両。
こちらは調べてみた結果、旧ェコスロバキア国鉄のT212と呼ばれる型。見た目は塗装の為綺麗ですが、中身は最初の製造から50年以上たつ初老的な車両のようです。
連なる機関車の先頭は似たような形式ですが、こちらは全身のT211の可能性があります。
控えめな星形マークも旧時代の象徴ですね。
かつてチェコとスロバキアが1つの国であったことの象徴とも言える旧チェコスロバキア国鉄のプレート。
それ故ここはスロバキアですが、”PRAHA”と刻まれているようにチェコの首都の名前がでてくるのです。
製造年/1960年頃 製造会社/?
これは主に旧チェコスロバキア時代である1960年代に製造され、急行車両としても用いられた車両です。
言うなれば旧国鉄車両みたいなものですが、旧チェコスロバキア国鉄時代の車両は先ほどの謎の機関車と同じく近未来間のあるステキな車両です。
調べによるとスロバキアは2007年、チェコでは2014年まで利用されていたみたい!ロマンあふれますね。
製造年/? 製造会社/ŠKODA VAGONKA
謎の黒い車両。
こちらはSP113と言う除雪用の車両みたいです。
それとなく先端がとがっているので何となくわかるかも…。
製造年/1943年 製造会社/Henschel-Kassel
同じ除雪用の車両で見ごたえがあるのがこの「ヘンシェル除雪機」。
ドイツはヘンシェル・カッセル製で1943年に製造された車両、戦後1970年台まで利用されていたとのこと。
どのように除雪をしていたかは想像に容易いですね。
画像だと分かりにくいですが、近くに寄ってみると結構大きく、特に除雪用のホイールのある全面は圧巻されます。
製造年/1957年 製造会社/?
他にも主に、駅や操車場で働くであろう車両も色々!
これは手動で移動可能なJŽ 600という車両。
耐荷重が600kgであり、主に線路の下にある枕木と呼ばれる部品の交換(?)に利用されたようです。
製造年/1960年頃 製造会社/?
何やら意味ありげなパーツが沢山見えます。
特に手前にあるものに意味がありそう。
これは線路の下に引いてある砂利を圧縮する車両。車両についている4つのハンマーによって砂利を圧縮し、その密度を高めることで枕木や線路などの安定性を高める車両。一般的にはマルチプルタイタンパーとも呼ばれています。
製造年は1960年頃ですので恐らく割と最近までは使われていたことが想像できます。
製造年/1980年 製造会社/?
こちらは「PRM 1」と言う車両で保線車両であることは間違いないですが、いまいち用途は不明…。
恐らく操作用のパネル。
中心にはエンジンのような部品。
そこについているプレートにはロシア語なのかキリル文字も刻まれている様子。
製造年/1983年 製造国/?
最後にこの車両。これは「KZ 1000」という車両であり、説明を見る限りこれもマルチプルタイタンパーの1つであると思われます。
その製造年はこの鉄道博物館の中にある物の中では比較的新しく1983年のようです。
製造年/1927年 製造会社/Královopolské strojírny Brno
102番と名付けられたのはこのレールクレーン。架橋作業や列車事故で運用されていたようです。
旧チェコスロバキア鉄道の紋章。ここにある車両にはチェコの地名が多くみられましたが、このプレートにはブラチスラヴァとありますね!
製造年/1941年 製造会社/Brno Královopolská
説明書きを読んでみましたが、翻訳してみてもその内訳は謎です。
作業車両ではあると思うのですが、実際の所どのような運用がされていたのでしょうか…。
後についている「Č. 170」も関連車両と思われます。
こちらもまた用途不明。
製造年/1928年 製造会社/?
冒頭でも紹介したこちらの左手の車両、貨物貨車で「M 140.101」と言うみたいです。都市間の高速貨物輸送に使われたこの車両は1928年に製造された3両の内の1両なんだそうですよ!
おおよそ100年前の車両でありながらこの見た目なのはやはり丁寧な手入れの為なんでしょうか。
製造年/1884年 製造会社/Ganz Budapest
この木造の貨車はハンガリー生まれであり、製造年である1884年頃は割とありふれたものだったようです。その後は1950年台頃まで利用されていたとのことです。
製造年/1914年 製造会社/Vagonka Arad(Vagoane Arad?)
色鮮やかなオレンジ色にペイントされたこの車両は「Ga 13002 KsOd」。
製造年は1914年であり、かつて存在したコシツェ・ボフミン鉄道の貨車として供用されたようです。コシツェとはスロバキア東部最大の都市、そしてボフミンはチェコの一都市です。
主にこれらは家具等重量のある商品の運搬に使われたほか、果物の高速輸送にも利用されたようです。
製造年/1919年 製造会社/Královopolské strojírny Brno
説明書きを翻訳してみても良く理解できなかったのですが、この「Z 1-43139」という貨車は旧チェコスロバキア国鉄における、戦時中の特徴的な車両だったそうです。
正しいかどうか自信が無いのですが、このスペースにはブレーキを掛ける担当が乗車し、少し高い位置にあることから視界は良好で、別の車両の担当とコミュニケーションを取ったりしたようです。
製造年/1930年頃 製造会社/?
こちらは石灰輸送のために1930頃製造された「Uz 6.98506」。
製造年/1894年 製造会社/Ringhoffer Praha
チェコもスロバキアもビールが美味しい国!
そしてこれはビール輸送に利用された貨車「Lp 510 017」。断熱仕様になっており、最適な温度でのビールの長距離輸送に利用されたみたい。
製造は1894年で、チェコ・プラハのRinghoffer Praha製。
ちなみに側面にある「MORAVIA」とはチェコ東部のエリアを指しますよ。
製造年/1935年頃 製造会社/?
こちらもタンクがあるのでお酒かなと思いきや、塩酸や硝酸などを運ぶ貨車、つまりタンク車ということでした。
カメのようなタンクが12個積んであり、それぞれが約1,000Lほどの容量を積載可。
製造年/1914年 製造会社/Vagonka Arad(Vagoane Arad?)
こちらは石油運搬用のタンク車。
ブラチスラバにあるアポロ(現在のSlovnaftと思われる)という石油精製会社向けに製造されたこの車両は、比重が0.78~0.98kg/Lの石油製品を運搬するために利用されていました。
ちなみにこの比重のレンジは割と広いので、液化石油ガスとガソリン、ジェット燃料以外と言ったところ。
恐らくこの博物館で最も気になるのがこの装甲車みたいな車両です。
分かったり分からなかったりする説明書きが列車に掲載されているのですが、この車両には付いていません。
一方で所々ドイツ語の標記が見られます。
読み取れたのは下記の通り。(スペルは間違ってるかも)
Jene beschädigung des wagens ist sofort dem heimat bahnhof telegrafisch zu melden
車両の損傷は電報で直ちにホームステーションに報告されます
うーん、良く分からない。
「Berlin」と言う文字も見られますので確実にドイツ関連だと思われます。
鉄道博物館では一般人が乗車するような車両ではなく、主に機関車や貨車など裏方役のような車両が多くみられます。
それは戦前どころか19世紀に製造された車両から、ごく最近まで製造、運用されていた車両まで様々!
そしてそれらの多くは共産圏時代であった旧チェコスロバキア時代の車両になっており、どこか昭和時代に描かれた近未来の車両のような雰囲気があり大変楽しめます。
近代的で手の届く博物館も面白いですが、このような野ざらしな博物館もいいものですね。
是非ブラチスラヴァに訪れた際にはこのブラチスラヴァ鉄道博物館もどうぞ!
▼この旅の一覧、費用のまとめはこちら。
スロバキアのガイドブック
ヨーロッパの便利グッズ
*対応していない国もあります。
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